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神職よりー夏越 茅の輪くぐりについてー

こんにちは、十日恵比須神社 神職です。この「神職と巫女のお便り」では神社に関する話題から、私たちが日々奉仕をする中で感じることなど、様々な記事を掲載致します。

今回は夏越の大祓「()()くぐり」についてのお話でございます。

夏越の大祓は、茅を束ねて奉製した大きな茅の輪をくぐり、日常の罪穢れや災病を祓い、無病息災を祈るための行事です。

古くより「水無月の 夏越しの(はらえ)する人は ちとせの命のぶというなり」と唱えながら茅の輪を三回くぐるとよいと伝えられています。

これは『備後国風土記』に記されている、蘇民将来(そみんしょうらい)武塔神(むとうのかみ)須佐之男命(すさのおのみこと))の日本神話に由来します。

ある日、旅の途中で宿を探していた武塔神がいらっしゃいました。裕福な生活をしていた弟の巨旦将来(こたんしょうらい)は断りましたが、兄である蘇民将来は貧しいながらも武塔神をもてなしました。

数年後、武塔神は再び蘇民将来が住む家に訪れ、宿を借りた御礼に「夜眠る時は茅を輪に結んで腰の上につけるがよい」と言い、家族分を渡し付けさせました。するとその夜、蘇民将来とその娘を除き、村の人々全員に疫病が流行したのです。そして武塔神は「私は須佐之男命である。今後悪い流行病が起きた時は、私たちは蘇民将来の子孫であると宣言し、茅の輪を腰につけることで、その人は流行病から免れるであろう」と教えました。この神話が茅の輪を悪疫退散と示した始まりとされております。

日本神話からは、私たち祖先がどのような世界観、人生観をいだいていたか、またピンチが訪れた時、どのようにして乗り越えてきたのかを読み取る事ができます。茅の輪をつければ絶対大丈夫…ということではなく、そこに茅の輪を掲げるため、神様に失礼のないよう、身の回りと自分自身を清浄に保たなければ…という心が働くと思います。そのような心掛けこそが”祓い”となり、相乗効果を生み出して身の回りが整うことにつながるのではないでしょうか。

当社では1日と10日、私たち神職の手作り奉製しました「ミニ茅の輪」を授与致しております。無病息災・悪疫退散を祈り、ご自宅の神棚や玄関にお飾りください。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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